【社会】日本に蔓延する“現状維持”の病 川淵三郎が激白「おっさんが出しゃばると日本スポーツはダメになる」[02/08]

1 逢いみての… ★ 2022/02/08(火) 22:55:36 ID:
 今年1月に開幕したラグビー新リーグ「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」。その発足に向け、中心的な役割を果たしていたのが、前年まで新リーグ法人準備室長・審査委員長を務めた谷口真由美氏だ。しかし谷口氏は、リーグの開幕を待たず2021年6月に協会理事などの役職を退いてしまった。なぜ谷口氏は突如としてラグビー界を追われたのか──。

 その顛末を明らかにした新著『おっさんの掟~「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』を上梓した谷口氏と、その谷口氏に様々なアドバイスを送り、支援してきた川淵三郎氏(日本サッカー協会キャプテン)が対談した。JリーグやBリーグなど、数々のプロスポーツリーグを立ち上げてきた川淵氏が、日本のスポーツ界にいまだ残る“悪弊”について語った。【前後編の後編】

 * * *


川淵:「大義」よりも「組織の論理」を優先させてしまうのは、日本社会の古くからの悪しき体質だね。最近は少しずつ変わってきていると思うけれど、それでもなかなか旧弊は改まらない。とくに「現状維持」になびいてしまうのは、ある程度年齢を重ねて、それなりのポジションを掴んだ人たちだね。い返せば、僕らがJリーグを作ろうとしたときも、一番反対したのは団体や企業の部長クラスだったり、役職が上の人たちでしたよ。

「要らんことやってくれるな」とか「今だって、新聞にそこそこ企業名が出てる。冒険する必要はない」とか、常に後ろ向きなことを言うんだよね。

 だけど、団体やチームの運営している課長クラスや若手はそうじゃない。現場を切り盛りしている人たちは「このままじゃまずい」と現状をよく認識しているから、「やっぱりプロリーグがないと韓国には勝てない」とプロ化に積極的だったね。

谷口:それはラグビーも一緒でした。新リーグのビジョンを説明すると、30代くらいの若い人たちは目をキラキラさせて「こういうことはできますか」「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」と前向きな質問を返してくるんです。ところが管理職以上の方々からは「それは本当に必要なんですか」とか「責任は誰が取るんですか」とか、どうしても後ろ向きな反応が多かった。

「新しいことが面倒くさい」──そんな雰囲気が蔓延していました。これはラグビー界に限ったことではありませんが、どうしても男性と年長者が大きな力を持っていて、女性や若者といった組織内での弱者の意見はなかなか反映されないと実感しました。

川淵:これはタテ割りの意識が強いスポーツ界全体、ひいては日本社会全体で変えていかなければいけない問題だね。歳を取っても情熱を持っている人はいるから一概には言えないけど、どうしてもおっさんが出しゃばると組織は停滞しがちになる。

 歳をある程度とってくると先が見えてきてしまうから、ついつい若い人の熱い気持ちにフタをするような行動をとってしまう。だけど、なぜ新しいことに取り組まなければいけないかというと、「若い人たちの未来」を創っていかなきゃいけないからだよね。

 だから、僕たちみたいな年寄りは内心「大丈夫か?」と思っていても、若い人たちに「やってみなはれ」と言ってあげなくちゃいけない。それが長く生きてきて、それなりにポジションと経験を持った人間の務めだと思うんです。

谷口:素晴らしい! 川淵さんは、それを自ら実践されているトップですよね。

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20220208_1725336.html

★関連板★
■えっちな話題なら”ピンクニュース”
http://mercury.bbspink.com/hnews/
■新作AV情報なら”AV情報+”
http://mercury.bbspink.com/avplus/

2 逢いみての… ★ 2022/02/08(火) 22:56:06 ID:
川淵:いやいや、僕にだって「年寄り病」は忍び寄ってきているんですよ。2021年の9月に女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が始まったんだけど、僕はそのプランを聞いた当初、「そんなのやめとけ」って言ってしまった。「お客さんは入らないだろうし、チームや選手の実力もまだまだ。成功するわけがない」という判断でね。

 でも、「WEリーグ」は、成功は難しいと懐疑的に見られているなかで、田嶋幸三・日本サッカー協会会長のもと、優秀な女性たちがいろいろなアイディアを出して必死に頑張っていました。その奮闘を見てたら、ふと「そういえば、俺も昔同じだったな」って思い出したの。「Jリーグを始めるときに俺も同じこと言われたわ」って(笑)。Jリーグ立ち上げは困難だらけだったけど、それでもやり遂げることができたのは「理念」というか「大義」みたいなものがあったからです。

 現役選手だった1960年代、ドイツに遠征したことがあったんです。そのとき、立派なクラブハウスがあって、選手たちが綺麗な芝生のグラウンドでプレーしている姿を見て、心底憧れた。「こんな素晴らしい環境が日本中のいたるところにあったら、きっと日本のサッカーはもっと強くなるし、楽しくなる」──そう感じたのが、僕がJリーグ立ち上げを志した原点なんです。

 やはりスポーツに携わる者にとって、一番大事なのは「理念」です。そのことを思い出して、「申し訳なかった」「やれるだけやってみなさい」と僕は考えを改めた。いまWEリーグは「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」という確固たる理念を持って必死に頑張っています。

谷口:川淵さんの素晴らしいところは──若輩者が言うのも畏れ多いんですけど、一度「やめろ」と言いながらも、「申し訳なかった」と前言撤回できるところだと思うんです。

 一般的には、とくに年配で地位のある方は、一度言ってしまったことを意固地になって変えられず、「俺は成功したけど、お前らのやり方じゃダメだ」と突っぱねてしまう人が多いと思うんです。つい最近、東京五輪をめぐるゴタゴタでも、そういう方がたくさんおられましたよね(笑)。だけど川淵さんは、自分が言われたことを思い出して、素直に考えを変えることができる。

川淵:いやいや、そんな大したもんじゃないよ。だけど一つ言えるのは、そこに「大義」があるかどうかという問題だよね。僕としては、女子プロサッカーリーグはなかなか難しいミッションだと思ったのも事実だけど、成功させようと努力をしている人たちがいるのもまた事実。

 実際にうまくいくかはわからないけれど、少なくとも僕が決めることではない。未来を支えていくのは、若い人たちなんだから。そもそも女子サッカーは僕のためのものではなく、プレーをする若い女性のものですからね。だから物事を進めるときに一番大事なのは、「大義があるかどうか」だと思うんです。

 その意味で言えば、外部から招聘された女性理事として、新リーグ法人準備室長・審査委員長として改革を進めようとした谷口さんをラグビー協会が最後まで守り切れなかったことは、「大義があったかどうか」を問われるところだよね。

谷口:私なりに努力したつもりですが、やはり「孤軍奮闘」という感は否めませんでした。

 ラグビー協会に、本当に強い改革の意志があったのかどうかも疑問です。私たち新リーグ審査委員会が実施した公平かつ客観的な審査も、最後の最後に「企業の論理」で跳ね返されてしまいましたし、ラグビー協会にも「プロリーグとして単独できちんと収益を上げていこう」という気概は見られませんでした。

川淵:門外漢の僕には詳しいことはわからないけれど、現場の真っ当な改革案が、業界の古い慣習でうやむやにされてしまう──それはラグビー界に限らず、大なり小なりどこの組織にもあることです。だけど、そんな組織でもたまに突破口を開く人間が出てくるんだよね、私はその役目を谷口さんに期待していたからこそ応援した。

 ただ、その人によっぽどの力がないと重い扉が開かないのも事実。正直なところ、どんな革命でも、成功させるにはそれをサポートする後ろ盾が必要なんだよね。きっと外部理事の谷口さんには、それだけの「権力」や「後ろ盾」が与えられなかったんだと思う。それが厳しいところだったね。

 僕がバスケットボールのBリーグを作った時には、『FIBA(国際バスケットボール連盟)』から日本スポーツ協会、スポーツ庁などが全部僕の後ろについていた。だから既存のリーグの関係者に対して「あなたたちは今まで何やってたんだ!」とか「言うことを聞かないとみんなぶっ潰すぞ」くらいの強気なことが言えたんだけど(笑)。

続く

3 逢いみての… ★ 2022/02/08(火) 22:56:15 ID:
谷口:そうですね。私に与えられた権限や、予算や人員は本当に心細いものでした。協会のなかには「お手並み拝見」というか「やれるもんならやってみろ」という冷たい視線もあって……。そんななか、川淵さんの存在は本当に私の支えでした。ラグビー協会から完全に外れることになったとご連絡した際にも「かける言葉がみつからない」と返してくださって。

 その上で、「いろいろあるだろうけど、毅然としていなさい。とにかくあなたはベストを尽くしたんだから」とお電話で温かく励ましてくださったことを、ずっとその後の心の拠りどころにしてきました。

 今回、ラグビー協会での自分の体験を本にしようと思ったのは、決して彼らへの意趣返しではありません。私は、新リーグ「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」の成功を心の底から願っているんです。ただ、失敗や教訓も含め自分の経験をきちんと本にして残すことで、どうしても閉鎖的な部分があるスポーツ界に一石を投じられたら──と。今後の若い世代のためにも、絶対に避けてはならないことだと思ったんです。

川淵:それはいいことだね。僕もラグビーが大好きだから、なんとか新リーグも成功してほしいと思っている。だからこそ、少しでも谷口さんの力になればと協力してきたんです。もちろん、谷口さんの退任にはもどかしさも感じていた。本当なら、いまごろ新リーグの理事長として活躍してほしいと思っていたぐらいだからね。自分の「負の経験」も含めて、伝えていきたいという谷口さんの気持ち、尊重しますよ。

新着レスの表示
■トップページに戻る■ お問い合わせ/削除依頼