【社会】「コロナになるな」なんて言われても… 限界の介護現場 優秀な職員の離職を止めるには何が必要なのか[02/16]

1 逢いみての… ★ 2022/02/16(水) 22:57:41 ID:
 高齢者が高齢者を介護する老老介護はすっかりお馴染みの言葉だろうが、いま、新型コロナウイルス感染者が感染者を介護する「陽陽介護」が増えているという。もともと人手不足の業界で、職員は誰もが限界状態で働いていると言われているところに新型コロナウイルスが襲いかかり、いまオミクロン株でさらに追い詰められている。俳人で著作家の日野百草氏が、激務だけでなく、コロナの検査をすることを巡ってですら職場の空気が悪化し、退職スピードが加速している介護の現場について聞いた。

 * * *

「施設は辞めます。あんな地獄はもうたくさんです」

 電話口の声は憔悴しきっているように聞こえた。田山美乃さん(30代、仮名)とは1年前、別の介護取材で知り合ったがついに施設を辞めるという。将来の相談など以前から仕事に悩んでいるようだったが、限界が来たか。

「ズボンの上げ下げもできない、寝たきりの方の多い施設です。大半は重度の認知症でもあります」

 コロナウイルス、オミクロン株の猛威は政府の甘い見通しをあざ笑うかのように2月5日、日本中で10万人を超えた。重症化はしないとされてきたが、ここにきて重症者1000人、死者も100人を上回った。また約44万人が自宅療養者となっている。2021年までの「ワクチンを2回接種すれば」という目論見も崩れた。最前線のエッセンシャルワーカー、とくに美乃さんの施設は特別養護老人ホーム(特養)、重度の介護を必要とする現場だ。誰かがいなければ、施設の高齢者は放置状態となる。

「ご自身で食事もできません。そんな現場なのに罹患職員、濃厚接触職員が出勤停止ですからね、1人で20人以上を見ることになりました」

 1人で20人は酷い施設、と思う人もいるかもしれないが、これまでも筆者の知る限り普通に存在する。施設の形態にもよるが夜勤なら1人で30人という施設だってある。あくまで常勤換算なので個々の職員の労働時間でなく施設全体の平均労働時間で構わない。とにかく複雑なのだが、表向きは言わないまでも常勤換算3:1(被介護者3人に対して介護職員1人)を満たせない施設は多い。これが日本の福祉の現実である。ましてコロナ禍、離職に次ぐ離職で罹患だの濃厚接触以前に人手不足で崩壊寸前の介護施設も少なくない。

「こんなコロナで大変な時に新しく入ってくれる人なんていませんからね、出ていく一方です。私もその一人ですが」

 オミクロンの猛威にあらゆるエッセンシャルワークの現場は限界が来ている。その中でも介護施設、とくに特養のような重度の高齢者(おおむね要介護3以上)では休めばいいというわけではない。食事も自分で摂れないしトイレにも行けない。ここでは本旨ではないため先の常勤換算で充足しているか否か、またそれによる介護報酬の問題(不正など)は置くが、やむを得ず規定に満たない人員で回さざるを得ない施設の事情もある。田山さんの例などまさにそれだ。

「気をつけていてもどうにもなりません。誰かがコロナに罹ったらそれで施設は崩壊します。私たち職員だって生活がありますから、当たり前の話ですが家に帰りますし家族もいます。買い物だって行きます。『コロナになるな』なんて言われても、どうすればいいのやら」

 一部の公正世界仮説の住人は「気をつけてないから」「罹るような場所に行ったんだろう」と妄言を垂れ流していたが、もはや日本中で1日10万人の感染者という現実にだんまりだ。日常生活を送る限りオミクロンに罹患する確率は高い。ただ重症か軽症か、それだけのことだ。

「介護(職員)って中高年ばかりなんです。30代でも若手です。施設の高齢者ももちろんですが、職員も糖尿病とか、高血圧とか基礎疾患を持ってる方は多いです。それでも入所者のために仕事に出るしかないんです」

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20220216_1725893.html

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2 逢いみての… ★ 2022/02/16(水) 22:58:05 ID:
 日本の介護従事者の平均年齢は45.9 歳(2020年)、30年後にはまさしく施設も「老老介護」となる。実際には多くが退職、もしくはお亡くなりになる可能性も考えれば、団塊ジュニアが後期高齢者になるころには介護職員は絶望的に足りなくなるだろう。それを補うための外国人ヘルパーやその志望者もコロナで来日しづらくなって久しい。

「日本人の若い人で介護やる人なんて少ないでしょう、少子化ですから他に仕事はありますし。中高年は行き場がないから介護の仕事、って人もいるんです。基礎疾患まみれの男性職員なんて入所者より危ないですよ、かわいそうです」

 現在の施設の状況についてもっと詳しい話も語っていただいたが、地域や個人が特定される可能性が高いのでとくに触れない。ただ気になることは、もしや陽性でも働いている職員がいるのでは。筆者は他の施設でも陽性者が無症状、軽症だからと個人で、もしくは施設ぐるみでシフトをこなしている事例を耳にしている。どうなのか。

「検査キットは手に入ったり入らなかったりですからね。市のPCRは高齢者施設職員が優先的に受けられるのですが数は少ないです。いつ罹ってるか、いま罹ってるかわかりません。重篤化して、初めて『ああ、コロナだったんだ』じゃないですか」

 最後の言葉はあくまで田山さんの意見だが、気持ちはわかる。実際、若者を中心に無症状のままが大半、せいぜい軽症で済む。会社でも気づかないうちに罹患しながら出社している人はいるだろう。自営業なら尚の事かもしれない。実際、岐阜県の高齢者福祉施設で2月に発生したクラスターは入所者1人のコロナ感染が発覚したが、知らないうちに職員2人と他の入所者3人も陽性だった。

「みんな限界なのと怖いのとで辞めてます。私もそうです。陽性だ、濃厚接触だで自宅待機になって、そのまま辞めるんです。若い人は他の仕事、実家暮らしや共稼ぎはしばらくお休み、って感じです。で、残った施設は地獄です」

 軽症者でも、施設に入所している高齢者は病院に入院することになる。そうなると黙ってないのが家族だ。

「言い方が難しいですが特養ですから一般的な高齢者施設よりは文句を言われたりは少ないですが、それでも罵倒してくる家族はいます。つらいですね」

 10人中9人が「気にしないで」と言ってくれたとしても1人の罵倒を気にしてしまう。エッセンシャルワーカーは責任感が強く真面目な方も多いのでそのまま受け止めてしまう。これはコロナ禍以前に聞いた別の例だが、特養に認知症の親を預けっぱなしのくせに、些細なことにも文句を言ってくるモンスターファミリーもいる。

「このままでは自分が壊れると思って辞める決心をしました。夫は働いてますから、しばらく静かに暮らそうと思ってます」

 幸いなことに旦那さんは辞めることに賛成だそうで、収入は減ってしまうがしばらくはなんとかなるという。

「(介護職に)復帰はないと思います。責任と激務ばかりで賃金も少ないです。この金額なら他のパートでも十分まかなえます。そう考えたら何やってんだろ、ってなってしまって」
 
 以前の相談そのままだが、介護職の賃金は本当に安い。いや、実のところ安い給与でも労働負荷が著しく低ければ人によってはありだろうが、介護職は重労働な上に人命という責任がついてくる。実のところ介護職の離職率は2020年、2021年のコロナ禍は下げ止まっている。しかし今回のオミクロン株の猛威と各施設の混乱により、田山さんのような離職者がまた増え始めるかもしれない。

「人間関係も最悪です。『PCRなんてするな』ってベテランがいたり、陽性になって給料補償で休み続けている人もいます。そんな人を『うらやましい』なんて陰で言ったり、空気が悪くなる一方でしたね」

 補給も援軍も来ない籠城戦のような状態、医療機関も介護施設もみな同じような孤立無援の戦いを強いられている。繰り返すが特養はもちろん高齢者施設の入所者の多くは介護者がいなければ生きていけない。飲食店のように休業という選択すらできない。子どもと同様にマスクをぐずる、もしくはマスクが嫌で暴れる認知症の方もいる。食事、排泄、入浴、シーツやおむつなどの交換のたびに消毒と清掃、そんな業務で人員不足、低賃金、まして自身もコロナに罹患するかもしれない最前線から逃亡しても、それを責めることなどとてもできない。無理だ。

「前も2月から9000円上がるからって引き止められましたけど、9000円ですか、ってつい言っちゃいました。施設長も上司も苦笑いでしたが」
 
続く

3 逢いみての… ★ 2022/02/16(水) 22:58:18 ID:
 これまで散々放置されてきた介護職員の処遇だが、介護職員処遇改善支援補助金と称して2022年2月から9月までの賃金に月額9000円を加算することを決めた。10月以降も報酬としての加算を継続する見通しだが、これで引き止められるかは不透明だ。

「コロナ禍で再就職が難しいと言っても介護職レベルのお金を貰える仕事はたくさんありますから。仮に復帰したくなれば復帰も容易なのはこの仕事のいいところです」

 踏ん切りをつけた田山さんだからこその言葉だが、確かにそうなのだ。30年間変わらない日本の平均年収だが、その平均年収より約100万円安いのが介護職、それでコロナの最前線で命を張って大勢の高齢者の命を守れと言われても割に合わないというのが本音だろう。またコロナと離職者により施設の存亡すら危うくなっている。2020年の老人福祉、介護事業の倒産は2000年以降(介護保険法施行後)で過去最多となった。2021年は一時的な収束、緊急事態宣言解除もあって落ち着いたが、このままでは2022年には増加する可能性が高い。

 感染者数が数万人単位で更新される中、高齢者施設のクラスターも連日報じられている。オミクロンは「ただの風邪」ではないし人によっては命を落とす。しかしコロナ関係なく命をつないでいる状態の高齢者やその施設、そして職員にとってはどうか。3回目の接種も遅れに遅れ、オミクロン株を2類相当(結核、SARSと同じ)のままか5類(インフルエンザ)とするのかも決めあぐねている日本、そのコロナの最前線は今日この時も、刻一刻と崩壊し続けている。いずれにせよ、その選択も含めて明確に政府が責任を引き受ける形のメッセージを発信しなければ、ますます田山さんのような真摯で優秀な介護士の離職が増え続けてしまうだろう。

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